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2009.02.15

Providence / Callisto (2009)

callisto.jpgフィンランドのドゥーム/プログレメタルバンド、Callistoの3rdフルアルバム。

個人的にかなりお気に入りであった前作"Noir"から約二年を経て発表された本作、ジャズやポストロックへの傾きをさらに深くし、クリーンVoも導入して次の1歩を踏み出そうとしたのはわかるが、ではそれが良い方向であったか、前作を越えるものであったかと問われると残念ながら首を横に振らざるを得ない。前作はうねりを帯びたその孤独感と悲壮感に心沈まされたものだが、今作ではそうした趣はほとんど見られなくなっている。Voにしても演奏陣にしてもクリーンで当たり障りの無い音を出して、聴いていてもあまり心に残るものが無く、淡々とダレた時間のみが進んでいく。もちろんある種の気だるさはこのバンドの魅力ではあった。だがそれはへヴィで激しい慟哭があったからこそ意味を成したのであり、ただ気だるさのみが残った本作は失敗作としかいいようがない。時折、激しさをみせるような箇所もあるが、全体の印象を覆すのには決定的に力不足である。少し期待していただけに残念であった。

Rating : 2/10

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Posted at 22:44 | Music Review | COM(2) | TB(0) |
2009.02.07

Common Existence / Thursday (2009)

thursday.jpgエモ/ポストハードコアバンド、Thursdayの5thアルバム。

前回のアルバムの感想を書いたときこのバンドに対して別格と評したが、本作を通してもその印象に全く変わりは無い。何せ凡百のエモ・スクリーモ勢とは訴求力が段違いなのだ。繊細ながらもささくれだった感情の激しい吐露に関しては、一日の長などと評するには余りある説得力を備えている。それにしても、前作もそうであったがこの危機意識というか切迫感は一体何なんだろう。アルバムの至るところにおいて、まるで生死の分かれ目のような悩みっぷりと飛ばしっぷりで、聴くものを否が応にも駆り立てる煽情感の高さも特筆したい点の1つといえる。そうしたギリギリの切迫感の中、目も虚ろに、壁にぶつかり、自身に爪を立てるようなもがき方で苦しみ悲しんだかと思えば、絶叫を上げながら、髪をむずと掴み地に打ち伏せるような力技で襲い掛かってくるという点も見受けられ、躁鬱と浮沈が繰り返される世界観は、全く以って救いが無い。
各曲にしても粒ぞろいで、#2のラララコーラスにしても通常だったら噴飯ものとなってもおかしくないはずだがこのバンドがやると堂に入って見え妙に耳を捉えるから不思議なものだ。続く#3はらしいといえばらしい激性を伝え、#4ではややキャッチー&グルーヴィに攻めてくる。さらに緩慢さと焦燥感を交互に伝える#5、ゆったりとドラマ性を描く#6・#10など、聴き所が随所に存在し一気に作品を聴かせる力強さが心地良い。若干一人で悦に入って舞い上がっているきらいがないわけではないが、それも含めて興味深く聴ける作品だと思う。寂々とした風景から一転、寒風が突き抜けてくるような#11でラストを飾るところからしても、この時期に相応しい力作ではないだろうか。

Rating : 8.5/10

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Posted at 23:36 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2009.01.26

The Glamour Manifesto / The Glamour Manifesto (2009)

the-glamour-manifesto-cd-cover1.jpgイタリアはヴェネチア出身の5ピースバンド、The Glamour Manifestoの1stアルバム。

エレクトロポップロックとでもいうのか?どことなくエモっぽくもあるハイテンション&ハイトーンVoを先陣に据えて、電子音をピコピコと惜しげもなく鳴らし、他の演奏陣もそれに追随(というか悪ノリ)してあるときはコミカルにまたあるときはシリアスにとせわしなく動き回るタイプの音。こういう人たちが身近にいると疲れそうだがまあそんなことはどうでもいい。個人的にはイタリア出身ということで聴く前になんとなくラテン系の音を想像してしまったが、あまりそういった要素は見られない。シリアスでもどこか調子っぱずれなのがそうといえばそうかもしれないが、いくらなんでもこじつけというものか。個人的には#3、#5といったコミカルなタッチが先行している曲よりも、#2、#4、#9あたりの若干シリアスめの曲の方が躁鬱感が味わえて良いと思うのだがどうだろうか。そりゃ挙げた曲にしてもどこか小粒感があるし、イケメンが狙いすましてスカしてる雰囲気も否めない(#6とか特に顕著)のだが、10曲30分ちょいという尺の短さもあって、サクサクと味わえるライトなジャンクフード的食感が意外と心地よかったりする。この作品を経て何かイメージを喚起させるということはないが、運転中などに軽く聴く分には楽しめたので点数は若干高めに。

Rating : 7/10

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Posted at 23:08 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2009.01.20

Crógacht / Suidakra (2009)

S_Crogacht-cover.jpgドイツはデュッセルドルフ出身のフォークメタルバンド、Suidakraの9thフルアルバム。過去作品は筆者未聴。

最初パッと見バンド名がSukidakaraに見えたので、自分で自分のハードルを無駄に上げる何て素晴らしいバンド名なんだと思ったが違ったか。正しくは、SuidakraですSuidakra。まあ覚える必要なんざ全くございませんが。
さてこのバンド、当方今回が初聴となるのだが音楽性はといえばケルティックフォークを取り込んだメロデスといったところか。イントロからして民謡節炸裂でこの後の展開が伺える。正直言うとショボくれたベテランバンドよろしく民族音楽をピーヒャラやってお茶を濁すのかと思っていたたが、イントロに続く#2を聴いて少し思い直した次第。大風呂敷広げるところは存分に広げ、突進するところはわき目も振らずガツガツ飛ばすという、基本といえば基本というところをキッチリとやっており、民族節はもちろん前面に出てはいるがやや脇にあって彩を添えているといった位置付けである。#3におけるどこの国の裸祭りだと思わせるような臭いや#5の女性Voの導入などやはりフォークメタルと思わせる箇所も多くあるが、それはそういうものとして聴けばそれなりに堂に入っているように思えるし、#6・#9でも明らかなように結局最後はドドドドドドド・ギャギャアーで力任せにブン投げるのが頼もしいというか馬鹿というか、何だかんだで楽しく聴ける。アルバム全体に渡って土臭さは漂うのだが、そうした力技のせいか案外にスカッと聴けるのもいい。こういう類の音楽聴くのが久しぶりということもあろうが、興味を持って聴ける快作ではないかと思う。



Rating : 7.5

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Posted at 21:42 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2009.01.13

Your World On Fire / In Fear and Faith (2009)

ifaf_1st.jpgサンディエゴ出身のスクリーモバンド、In Fear and Faithの1stフルアルバム(作品としては2作目?)

前のEPの感想の時にはChiodosやA Skylit Drive辺りを参考例に挙げたが、本作でもそれは変わらずにキーボードをふんだんに用い、ミドルテンポで伸びやかさを主張するタイプのスクリーモといえる。部分によってはHopesfallに近づこうとするようなスペイシー且つ繊細な音もあり、#3や#6のラストなどで見受けられる、練られ且つ折り重なられたパートなどは聴き応えがあると素直に思う。とはいえEPのときにも感じられたソツが無さ過ぎて逆に面白くない、そそられないという弱点もフルアルバムで改めて露呈してしまったともいえる。言うならばいろいろとつまみ喰いしてたらお腹いっぱいになってしまったような感覚か。部分部分ではで瞬間最大風速のような点は確かにある。しかしそれはあくまで点であり線となって繋がらない。線とならないので頭の中で実像を結ばずにぼやけてしまい、結局アレどんなんだっけという後味の気持ち悪さが残るといえる。ついでにいうと激情を伝えようとしている#5とかが部屋で暴れているようにしか思えない狭量さに留まっているのも問題か。ああ、やっぱこういうの一番語るのに困る。タイトルに格好つけて反発するならば、その程度じゃ燃えやしねえよってところか。

Rating : 5/10

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Posted at 22:36 | Music Review | COM(0) | TB(0) |