2007.01.31
Elementary / The End (2007)
カナダのハードコアバンド、The Endの2ndアルバム。前作「Within Dividia」は日本盤が発売されるなどしたものの結局The Dillinger Escape PlanとConvergeのフォロワー、所謂カオティックコア勢の1つとして自分の中でそれ程大した印象を残すことなく消化してしまっていただけに、前作から約三年を経て発売された本作に対しては驚きを隠せない。元々混沌とした醜い音の中に美を構築していくタイプではあったが、本作ではそうした醜美の対比に一層の磨きをかけ、さらにスラッジィなドロみさえ全く違和感無く身に付けている。それでいて狭い内世界へ逃げることなく、地下から汲み上げたエネルギーを黒いグルーヴ感に変え、それを外へとブチ撒けていくダイナミックさを見せているのだから凄いの一言。また前作では少し弱いと感じたVoも、#2・#6などを聴くと本作のエモーショナルな作風の方がより合っていると思える。特にラストの#10はアルバム全体に漂っていた荒涼感をより際立たせ、息を呑むような静寂から嗚咽ものの劇性へ繋げた終焉を飾るに相応しい名曲であると思う。前述したThe Dillinger Escape PlanとConvergeに加えてIsisやMastodonを挙げ「結局のとこ良いトコ取りじゃね?」と断ずることも出来るであろうが、そうするには余りにも勿体無い作品である。
Rating : 9/10
試聴はこちら。
2007.01.30
Glow / Unjust (2003)
カリフォルニア州出身のニューメタルバンドUnjustによる2003年発表の3rdアルバム。ニューメタルって何を今更、と思う方も多いだろう。うん自分もそう思う。海外ではニューメタルとして扱われていたにも関わらず日本に入って来たときはエモとして紹介されていたのも、もしかしたらそうした今更感で敬遠されないためであったかもしれない。まあそんな邪推は置いておくとしてこの作品、ニューメタルとはいっても熱血!肉体メタルとは趣を異にしており、ザクザクとしたヘヴィネスをある程度備えつつもクサめメロディを哀感たっぷりに伝える歌モノであると言える。時折現れる絶叫にしても所詮オマケ程度のものであり、むしろVoは伸びやかに歌い上げることに重点を置いている。さらにクリーンギターやキーボードも積極的に導入し、寂しさと激しさの揺れ動く様を描くところなど、成る程エモ的な要素も見られなくもない。特にインストの#1から#2に流れ込むところから#5に至るまでのメロディは秀逸でありこのアルバムのハイライトであると思う。歌唱以外でも薄暗く冷たく漂うメロウ感が染み込んできて、それが何となく今の寒い季節に合っているような気もする。1つ物言いを付けるのならばアクの弱さが挙げられ、それを許せない人も当然いるだろう。しかし個人的にはアクは弱くともこのメロディが響いちゃったんだから仕方ない。ってことでこの点数。
Rating : 8/10
試聴はコチラ。
このmyspace見ると一応2007年に新しいアルバム出すつもりらしい。でも出した後そのまま消えていきそうな匂いがしないでもない。この3rdアルバムを発表したときも「近いうちこのバンドは売れる」とか言われながらその後ほとんど音沙汰が無くて凄くメタリックだったし。
2007.01.26
うつろいゆくもの / Kenso (2006)
日本のプログレッシブロックバンド、Kenso(ケンソー)の8thアルバム。過去作品は筆者未聴。さてプログレッシブ・ロックというと複雑で難解な展開を繰り広げることが多くどうしても閉塞感が漂いがちなためか、(自分も含めて)プログレというだけでやや身構える人も多いんじゃないだろうか。
でKensoの最新作はどうかというと、演奏技術がどうとか曲が投げかけるメッセージの深読みとかはもうファンの方々に丸投げするとして、まず音そのものは案外スンナリと聴けて好感が持てた。展開はやはり複雑であるし曲数も17曲と多めだが、1曲1曲は大して長くもなくある種の親しみやすさはあると思う。また、様々な音楽のエッセンスを振り撒くことでなかなか飽きさせない作りになっており、同時にそうした試みからこのバンドの貪欲さも伝わってくる。しかしその多彩さ故かどうも手を広げ過ぎで、こちらが焦点を定めようといても輪郭がボケてしまう感覚が拭えない。時にゴリゴリした音を出したり女性Voを導入したりと聴き手を振り向かせる面白さは備えていると思うが、結局焦点が合わないがために聴いた後「いや、良いとは思うんだけどさ…」程度で留まってしまい、やはり何周も聴くのにはちょっと辛い。音楽に限ったことではないが、良いモノが必ずしも強く印象に残るモノとは限らない、ということはよくある。そして、元々このバンドに対し特に思い入れも無い自分にとって「うつろいゆくもの」とはそういうモノであったということだろう。
Rating : 6/10
試聴用ページが見当たらなかったので公式ページへのリンクを一応張っておきます。
2007.01.23
Animosity / The Berzerker (2007)
オーストラリア出身のテクノグラインド/デスメタルバンド、The Berzerkerの4thアルバム。マシンビートを多用したテクノグラインドとデスメタルを掛け合わせたえげつない音楽性によってごく一部で好評を博していたThe Berzerker、本作でもやっていることは相変わらず。1stに比べ2nd、3rdと少しずつメタル寄りになってきており本作においても同様の変化は見られ、そうしてメタルの度合いが濃くなることで(このバンドにしては)音に多彩さが出てきている感はある。一方、サイバーな質感にしても全く失われたわけではないのでそれはそれで一安心。吐き捨てVoと咆哮Voを双頭に据えてトバしていく作風は流石とも言いたくなる密度も備えている。
しかしどうも今1つインパクトに欠けるのは、マンネリで飽きてきたというだけの問題ではないだろう。3rdアルバムでもやや感じられたことだが、1stや2ndの頃のようなブチ切れた衝動性と無慈悲で有無を言わさずに圧殺するパワーに欠けてきているというのが一番の問題のように思う。#2、#6、#7などでそれらを感じさせる部分も見られるのだが、今一歩のところで収束してしまいハジけるところまでいってないのがもどかしく、残念でならない。散々暴れまわった戦闘機械獣にもそろそろガタが見え始めてきたということか。とはいえ、10曲30分弱と割りと潔い作りをしているし、今までThe Berzerkerを好きだった方ならば楽しめる作品であるのは間違い無いと思う。
Rating : 6.5/10
試聴はコチラ。
2007.01.22
toe ワンマンツアー(大阪) 感想
toeのライブに行ってきました。
実は生で見るのは初めてだったりする。場所は心斎橋にある鰻谷Sunsuiで、開場になる6時ちょっと過ぎにいったらもう結構な数の人が集まっていた。クソ不味い発泡酒を飲みながら開演を待っていたのだけど、満員御礼らしくて凄い熱気が漂ってかなり熱かった。さすがにコートは脱いでたもののニットなんか着てくるんじゃなかったとちょっと後悔。客層は大体自分と同じくらいで20代前半位の人が多かったように思う、もうちょっと年齢層が上かなと思ってたんでちょっと意外であった。CDだとこのバンド、アダルティで落ち着いたイメージが自分の中では先行していたし。
しかしライブではそんなイメージを吹き飛ばすほどの迫力があった。単に音量が大きいからというのではなく、各々のメンバーが力強く躍動しており、その迫力は激しいと表現してもいい程であったと思う。もちろん琴線に触れるような優しさや切なさも随所に見られたんだけども、やっぱそうした繊細な表現を支えているのは確固たる力なんじゃないかな、と勝手なことを思ったり。
セットリストはよく覚えていないけど、フルアルバム、EPからまんべんなくやった気がする。個人的には「メトロノーム」を聴きたかったのだがやっぱありゃ無理か。アンコールは歌モノの「グッドバイ」だったんだけど、CDにはない、ラストで昇り詰めていく雰囲気が感じられてそれが凄く心地良かった。
時間にして一時間半程のライブであり本当にあっという間に過ぎ去ってしまった。これは是非また見てみたい。
実は生で見るのは初めてだったりする。場所は心斎橋にある鰻谷Sunsuiで、開場になる6時ちょっと過ぎにいったらもう結構な数の人が集まっていた。クソ不味い発泡酒を飲みながら開演を待っていたのだけど、満員御礼らしくて凄い熱気が漂ってかなり熱かった。さすがにコートは脱いでたもののニットなんか着てくるんじゃなかったとちょっと後悔。客層は大体自分と同じくらいで20代前半位の人が多かったように思う、もうちょっと年齢層が上かなと思ってたんでちょっと意外であった。CDだとこのバンド、アダルティで落ち着いたイメージが自分の中では先行していたし。
しかしライブではそんなイメージを吹き飛ばすほどの迫力があった。単に音量が大きいからというのではなく、各々のメンバーが力強く躍動しており、その迫力は激しいと表現してもいい程であったと思う。もちろん琴線に触れるような優しさや切なさも随所に見られたんだけども、やっぱそうした繊細な表現を支えているのは確固たる力なんじゃないかな、と勝手なことを思ったり。
セットリストはよく覚えていないけど、フルアルバム、EPからまんべんなくやった気がする。個人的には「メトロノーム」を聴きたかったのだがやっぱありゃ無理か。アンコールは歌モノの「グッドバイ」だったんだけど、CDにはない、ラストで昇り詰めていく雰囲気が感じられてそれが凄く心地良かった。
時間にして一時間半程のライブであり本当にあっという間に過ぎ去ってしまった。これは是非また見てみたい。
2007.01.14
The Second Philosophy / Nahemah (2007)
スペイン出身のプログレッシヴデスメタルバンド、Nahemahの3rdアルバム。とりあえずジャケットからしてスペイン出身とは思えないようなジャケットだが、中身の方も情熱のラテン系といった風ではなく寒々しい北欧系の音になっており、所属するLifeforce Recordsでも引き合いに出されていたようにOpethの影響が色濃い、醜美のコントラストに長けたプログレッシヴデスメタルを展開している。その音は重く暗く、陰惨ささえ漂う作りであるものの激性はそれほど高いわけでもなく爆発力といったものとは無縁であり、むしろドス黒いドラマをゆっくりと描いていくタイプか。だがOpethのようなノスタルジックな空気(というか昔のプログレへの憧憬)は無く、むしろBurst辺りの現代的な病性が感じられる。但しポストハードコア色も無いので、今のポストロックというテンプレートにメロデスを当てはめたらこういう音になる、という解釈が個人的には一番しっくりきていたりもする。デスVoとクリーンVoの使い分けにしてもメタルコアのそれという印象もなく、轟音と静寂というポストロックの定番の型に沿ったものだと考えたほうがなんとなく合点がいくことではあるし。これを新しいサウンドだと持ち上げることなど出来はしないが、アリガチなメタルコアに飽きてきた人はちょっと興味深く聴けるかもしれない。
Rating : 7.5/10
試聴はこちら。
2007.01.11
V : Havitetty / Moonsorrow (2007)
フィンランド出身のヴァイキングメタルバンド、Moonsorrowの5thアルバム。過去作は未聴。というかヴァイキングメタル自体、そういうジャンルがあるということは知っていたもののほとんど聴いたことがない。「大体何だよヴァイキングメタルって。メンバーの中に斧担当でもいるのかよ。」とその存在を知ったとき思ったのは数年前。さてまず目を引くのは2曲60分弱というアルバム構成。このトラックリストを見て苦笑いこそすれ大して驚きはしない自分の感覚のマヒさ加減に絶望したわけだがそんなことは置いておいて。それにしても大作指向だとは聞いていたものの、ここまでくると壮大とかいうレベルじゃなくて余程の頭デッカチか馬鹿だろうなと思ったが、実際音を聴くとどちらかというと後者の方であった。キラびやかなシンフォニックアレンジもそれなりに見られるのだがあくまで味付け程度で済ませ、その代わり民俗音楽を前面に出したかなり土臭い音楽となっている(船で他の国行って出稼ぎ略奪してた人達を小奇麗に描かれても困るのだが)。中心ではしっかりと太い音が鳴っているように感じられるし、それがヴァイキングっぽいと言えばヴァイキングっぽい野蛮さも備えているしで、そういう意味じゃプリミティヴな魅力があってなかなか良いんじゃないんだろうか。Voにしても息臭そうなオッサンらが戦場で出す怒号と断末魔を表しているようでちょっと面白くもある。でも最終的には、やっぱ長いしだるいわコレ、という身も蓋もない結論に達してしまった。と同時に、長いトラックを途中から聴くときMP3ってホント便利だなあと改めて感じたりもした。
Rating 5.5/10
試聴は公式ページのYoutube動画で出来ます。時間はかなり短いですが60分ずっとこんなもんだと思ってくれてほぼ間違いないかと。
2007.01.09
A Whisper In the Noise / A Whisper in the Noise (2006)
アメリカのゴシックロックバンド、A Whisper in the Noiseの3rdアルバム。過去作は未聴。冒頭のワルツからして曇りの日に古ぼけた洋館に迷い込んだような陰鬱さを出していたり、続くタイトルトラックもフラフラとした重い足取りが印象的だったりと良い意味でどこか迷宮的な作品。その後も最後ノイズでかき消される#6や盛り上がっていてもカラ元気にしか感じられない#7など、Voも含め良い具合にキモさも出ている。統一して重苦しい雰囲気に包まれてはいるものの息苦しさを感じないのは、湿っていても纏わり付かない作風と空間にゆらめくヴァイオリンとピアノのおかげなのだろうか。よって飽きもせず胃もたれもせず最後まで面白く聴くことが出来た。途中女性や子供のコーラスなんかも導入しているが、あくまで重く鬱な音を出すという姿勢を保ったままでアクセントをつけており好印象。個人的なことを言うと年末年始は2006年の取りこぼし音楽の回収みたいなことやってたのだが、その中ではかなりアタリな作品であったと思う。2007年張り切って行くぞー!って意気込んでいる方にオススメできるもんでは決してないんだけども。
Rating : 7.5/10
試聴はコチラ。
2007.01.02
Volk / Laibach (2006)
改めまして、明けましておめでとうございます。今は正月ですが来週には成人式と行事が続きますね。そういう行事で一番使われる曲といえば、下衆なメタルなんかではなく、やはり伝統ある国歌なわけです。
さて、そこで今日紹介するのはスロベニア発Laibachによる"Volk"というアルバム。この作品には、アメリカ・ドイツ・フランス・スロベニアなどいろいろな国の国歌をかなり大胆にアレンジされたものが収められています。当然我らが日本の国歌「君が代」も収録されており案外しっかりとした日本語で歌われているため、どっかのバンドの「赤い乳首を抱きしめて」のようなことにはなっていません。とはいえ国歌集という時点で出オチの感が否めず、子供や女性コーラスを入れるなどいろいろなことをやろうとしているのは伝わってきますが、全体としては突き抜け感もなくボソボソと陰気臭い感じ。一応この人たち政治思想団体みたいなんですがこのアルバムを出して一体何を訴えかけたいのやら。個人的にはアレンジされた「君が代」今まで聴いたことがなかったので少し新鮮でしたが、それ以外にはあまり思うところもありませんでした。
Rating : 3/10
試聴はこちら。
2007.01.01
Dead Mountain Mouth / Genghis Tron (2006)
記念すべき移転後1発目レビューはフィラデルフィア出身のグラインドコアバンド、Genghis Tronの1stフルレングス。Berzerkerのような無機質なグラインドコアをベースとし、Horse the bandのようなエレクトロカオティックコアをまぶしたらこんな感じになるんだろうか。電子音がややサイケデリックな要素を植え付けており、Voにしてもグラインドコアの低音咆哮Voではなく、カオティックコアでよく見られるの発狂系Voを披露している。それ故に音から受ける印象はタフといった感じではなく、病的。基本的には速さというか刹那的なインパクトを繋げたような作りでその破壊力たるや相当なものだが、#8のようにややスロウな展開でも滅セヨという声が聴こえてきそうな程その音は壮絶。その一方で無機質ゆえの荒涼感が漂う(#9、#10で顕著)のも見逃せない。10曲30分強、新人とは思えないほどの密度の濃いアルバムと言えるだろう。
あと、8bitゲーム機のような音の後にガガガガガガガガガガガガガガガガとかまされたとき、高橋名人の16連射を思い出してしまったのは自分だけではないはずだ。きっと。
Rating : 8.5/10
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