2007.03.28
Waking Giants / Life In Your Way (2007)
コネティカット州のプログレッシヴハードコアバンド、Life In Your Wayの3rdアルバム。このバンド、Poison the Well・Hopesfall辺りのハードコア(所謂叙情派ニュースクールってやつですか)のフォロワーの1つという位置付けであると思うのだが、そうした先輩格のバンドがスタイルを大胆に変えてきているところを見ると、叙情派ニュースクール好きの中でこのLife In Your Wayに期待していた人も多いのではないだろうか。そんな期待を受けて発表された本作は、これまでの路線を継承しつつさらに磨きこまれた力作と呼べるものに仕上がっている。サウンドはメリハリが強調され、前作までではやや浮付いていたギターが本作ではしっかりと溶け込んでおり、その劇性は厚みを増したといえる。怒号ではなく慟哭を伝える絶叫Voもメロディックな美性に重きを置いたスタイルにはよく合っているし、何よりもゆっくり噛み締めるような余情性と叩きつける攻撃性の間で揺れる感情の動きにはこの手の音好きとして惹かれるところがある。バンドとしてスケールアップを果たし、(そもそもこのジャンルが死に体じゃないのという話は置いておくとして)このジャンルの中で存在をアピールする1枚だと思う。ただ盛り上げ方が割とワンパターンでどれも同じような曲に聴こえるせいか、他のジャンルにまで響く魅力があるのかと言われるとさすがにそれに対しては疑問が湧いてくるけど。
Rating : 7/10
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2007.03.27
Kikelet / Dalriada (2007)
ハンガリーのフォークメタルバンド、Dalriadaの3作目。Echo of DalriadaからDalriadaへとバンド名を変更したことで心機一転と言いたいところだが、やってることは相も変わらず泥臭い土着フォークメタル。村役場の受付係並にダルくてやる気のないように聴こえる女性Voも相変わらずで、何か聴いているこちらまで脱力してくる。そうした女性Voに反してやや掠れ気味な雄叫びをあげる男性Voの胡散臭さ、辛気臭い色気を放つキーボード、狙っているにしても狙いすぎな程に安っぽくベタなメロディが散りばめられた楽曲、どれをとってもダサダサで気恥ずかしいことこの上ない。本作ではストリングスを大々的に取り込んでいるように思うのだが、それでも洗練のせの字も見せずに陳腐に仕上げてしまうのだから流石だ。そんな恥を恥とも思わぬ姿勢を保ったまま46分間前へ前へと駆け抜ける様は、前作同様堪らないものがある。本当にどの曲もシアトリカルで滑稽だが、ドタバタした走りにさらに加速がかかる#7、突拍子も無く土人のような叫びが聴こえてくる#8、このバンドのラストにふさわしい湿っぽさを出す#9などが特に気に入った。前作の衝撃が大きかったせいもあるのか本作は多少マイルドに感じられたものの、それでもありきたりな洗練などに走ることなく我が農道を行く快作であると思う。
Rating : 7.5/10
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2007.03.22
The Well / Waking Ashland (2007)
カリフォルニア州サンディエゴ出身のエモバンド、Waking Ashlandの2ndアルバム。MaeやCopelandと並んで評されることが多い彼らだが、個人的にはそれらのバンドと比べるとそんなに良い印象は持っていない。いや、確かに自主制作のEP「I am for you」は良い出来だったし新人としては頭1つ抜けたセンスを持っていたと素直に思う。しかしその後発売された1stフルアルバムはEPの貯蓄でやりくりしているようでどこか煮え切らない作品に感じられた。まあその時点では1stだし期待し過ぎたかと思い、この2ndが勝負どころかなと勝手に考えていたのだが、実際音聴いてみてあーあこりゃ駄目だ。楽曲はどれもフックに欠け頭にも胸にも残らずスルー、緊迫感の無さも甚だしくダラダラとした時間の流れには目も当てられない。ピアノが一歩引くことでエモからロックへ、なんて言われても肝心の曲がろくでもないのでそんな細かい方向性は正直どうでもいい。結局このバンドの旬ってEP「I am for you」だったんだなと思った。そしてEP-1st-2ndと順調に下降線辿ってるところ見ると、なんか天才子役の末路を見てるみたいで別の意味で涙を誘う。さしずめ今回の微妙な方向転換はその子役が大きくなってイメージチェンジのために発表したグラビアみたいで、非常に苦しい香りがプンプンする。そのうち麻薬所持とかで捕まらなきゃいいんだけど。
Rating : 2/10
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2007.03.21
Amoeba / Hacride (2007)
フランスのスラッシュメタルバンド、Hacrideの2ndアルバム。フランスのメタルっていったら自分なんかはDeathspell Omegaとかが頭に浮かぶのだが、スタイルや世界観は全く異なれどこのバンドも中々に面白い。過去の作品を聴いていないので変化はわからないが、本作で聴けるサウンドはプログレッシヴなデスラッシュってとこだろうか。展開としては怒気を孕むVoとささくれだったギターがドスを効かせるスラッシィなパートと、アコギをふんだんに絡ませたアトモスフェリックなパートとを行ったり来たり。ついでにフラメンコなども取り入れることで凝ったというよりもいろいろと詰め込んだ作品性ではあるが、それでも密度とキレを見失っておらず瞬間的勢いも高く保っているのが凄く良い。曲単位で注目しても、静から一気に置いてけぼり喰らわせるようにぶっ放す#2、妙にグルーヴィで不穏さに満ちた#3など聴き所のある曲が並んでいるし、特に#4はメタルの無機的な冷たさとフラメンコの南国的情熱感が違和感無く合わさっておりネタモノだとか小賢しいとかいう域以上の魅力があるように思えた。しかしそうした前半のインパクトに比べると後半やや弱いように感じる。とはいえ普通ならインストの#9でスッキリ終わりそうなところに、大袈裟な#10をぶつけて食傷一歩手前までやってしまう姿勢なんかは嫌いではないが。ちいと手の込んだものが好きな方ならコレ聴いておくのも良いのではないだろうか。
Rating 7.5/10
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2007.03.17
Monologue / The Idoru (2007)
ハンガリー出身のメロディックハードコアバンド、The Idoruによる2ndアルバム。日本じゃアイドルっていったらIdoruよりもIdolになるだろうが、自分はアイドルを実際に生で見たことが無い。一回見てみたいなって気はするんだけども。そこまで見たいアイドルがいないことが第一の理由だが、何となく気が引けるってのもある。まあ一般人からしてみりゃデスメタルのライブに行くのと大差ないだろうが。それにしても、最近じゃこんなゲームまで出てるらしいっすね。…いつの間にXBox360はセガサターンと同じ道を辿ってるんだろう。もちろん自分は持ってたけどねセガサターン。
さて話を戻して、
ピロピロドタバタワギャーなハードコアでごく一部において人気を博したNewborn、その元メンバーが今在籍しているのがBridge to SolaceとFallen Into Ashes、そして今回紹介するThe Idoruである。このバンド、日本盤が発売されたり来日したりと日本においては3つのバンドの中で一番盛り上がりを見せている(何てニッチな盛り上がり方だ)。音の方はというとBridge to SolaceがNewbornの路線を受け継ぐどころかさらに濃くし、またFallen Into AshesはPoison The Wellのようなハードコアを示したのに対し、The Idoruはなかなか形容し難い音を鳴らしている。基本的にはメタリックなギターが絡んだメロコアなのだが、本作ではそういったサウンドによく見られる男臭さやゴツゴツ感といったものがあまり感じられない。その印象を決定付けているのが少し鼻にかかったVoであり、熱情を震わせることもなくザラつきを含ませることもなくスムーズに、ある意味では淡々と感情を吐き出している。何となく伸びのある声なのでエモいといえば確かにそうかもしれないが、感情をしっとり歌い上げるようなこともなくどこか投げやり。しかしその投げやりさと疾走感とが相まって作られる「とりあえずよくわからんけど走っとけ」的なイイ加減さが逆にちょっと心地よかったりもする。結構好き嫌いが分かれそうな音楽だとは思うが、Funeral For A Friend やThriceなどが好きな人ならば何か思うところがあるかもしれない。
Rating : 7/10
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2007.03.13
Welcome the Night / The Ataris (2007)
アメリカはインディアナ州出身のパンクバンド、The Atarisの5thアルバム。2003年に発表された「So Long, Astoria」から約4年、メンバーチェンジなども経て投げかけられた本作「Welcome the Night」を聴いて面食らった方も少なくないだろうが、かくいう自分もその1人。本作にあるのは憂いを帯びたエモ/オルナタロックであり、あの青春メロディックパンクは何処へやら。前作までに見られた甘酸っぱさはほろ苦さに変わり、軽快であった足取りは一歩一歩重く踏みしめるようになったのが本作の特徴と言っていいだろう。ではこのバンドの魅力は失われたかと問われると、それは違うようにも思う。確かにポップネスは減退したが、描かれているものは壮大だとか深いといった言葉で形容されるものではなくあくまで等身大の感情であり、それは前作までと何ら変わってはいない。Voも新しい方向性によく合わせてきたように思うし、#2におけるやや泣き叫ぶように歌い上げる様にはグッとくるものがあった。ただ、それを言っちゃオシマイだろという声が聞こえてきそうだが、前作の突き抜ける疾走感が恋しいのもまた事実であり、またそういう雑念を振り払うほどの楽曲が揃っていないことも問題である(中・終盤で映えて見えるのが#7、#13くらいというのも寂しい話)。よってこの新機軸や意気込みは買うものの求められるところまではまだ達していないというのが個人的な結論であるが、このダークに塗られた質感は決して嫌いではないし、もしかしたら今後の伸びもあり得るとして点数はこの辺りに留めておきたい。
Rating : 6/10
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2007.03.11
Take To The Skies / Enter Shikari (2007)
英国出身の4ピースバンド、Enter Shikariの1stフルレングス("Shikari"はインディアン語でハンターという意味らしい)。英国じゃ絶賛の嵐、今年2月には来日も果たし超新世代バンドとまで謳われてるEnter Shikariなのだが…一体何の悪い冗談なんだろうね。音楽性としてはAtreyuに代表されるキャッチーなメタルコアにエレクトロニック・ミュージックの要素を加えたもので、そこまで斬新な音楽性とは思えない。ヘヴィパートはナンチャッテで体感的重さを伴っていないし、絶叫Voは表現力の欠如が甚だしく単にがなっているようにしか聴こえない(その点もAtreyuにそっくり)しで、総じてチンケな雰囲気が付きまとい電子音がそれを助長させている。逆にそういうチープさを売りにするというスタイルもあるが、このバンドはそういう方向性でもなさそう。ていうか方向性以前にこの楽曲のつまらなさはどうにかならんのか。カオティックコアを気取りたいのかどうなのかは知らんが、こんな下手に凝ってチグハグな展開はカオティックとかいう問題ではなくて単にコンポーズ力が無いだけだろうが。各パートごとでは表面的に聴き所があるかもしれないがそう大して深く情に訴えるわけでもなし、こんなのは「"BBC Sound of 2007"でランクイン」・「メジャーレーベルの誘いを蹴った」・「myspaceでplay数が300万回を超えた」といったような箔がベタベタ貼り付けられたハリボテ音楽としか思えない。ここまで中身がスッカラカンなハードコアも久しぶりに聴いた。
Rating : 0.5/10
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2007.03.03
I Don't Care Where I Go When I Die / Gaza (2007)
アメリカはソルトレイクシティ出身のデスメタル/カオティックコアバンド、Gazaの1stアルバム。Hiroshima Will Burn並みに頭の悪いバンド名だが、音の中身もかなり極悪。やっていることはDillinger Escape Plan・Converge・Mastodon後の音楽でありそのスタイルに目新しさは無いのだが、グッチャグチャとした混沌にたちこめる血生臭さとジャリジャリとした感触が強烈なインパクトを生み出している。それこそグラインドコアばりに畳み掛ける部分も至るところに見られるが、ときにユラリとしたスラッジィな展開を見せるため全体のスピード感はさほど高いとは感じられず、一点突破の攻撃性というよりもくぐもった陰惨さが強く匂う。ハイライトを挙げるとすればタイトルトラックの#2で1分強と短いものの絶え間なく断末魔が鳴り響き、作品にしっかりと傷を刻み付けている虐殺曲。#3では嵐が過ぎ去った後のような荒涼感を醸し出したかと思えば、#4では甲高いギターが警報のごとく鳴ったり、#7では怨念じみたVoが聴かれたりとやることなすことがいちいちエグく救いようが無い。同じレーベル所属のArchitectもそうだったがレーベル名通りの闇市場的なカオスっぷりが良い。名前からこじつける訳じゃないがこの過激さはどことなくゲリラ的な気も。
Rating : 8.5/10
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