2007.05.29

The Phoenix Tree / Mono (2007)

monoep.jpg日本のインストゥルロックバンド、Monoの4曲入りEP。

 公式ページによると、広島の原爆をテーマにした作品だそうです、ギギギギギー
 さて最初から斜に構えるようで何だが、個人的には戦争だ原爆だをテーマに掲げる作品はあまり好きではない。そういうテーマが掲げられているということで批判が許されなくなる空気が出てくるのが嫌とでも言おうか。特に原爆なんて日本人にとっては水戸黄門の印籠のごとき平伏もののテーマであり、原爆をテーマにした作品を批判すること≒ノーモアヒロシマというメッセージの否定に繋がるという図式が嫌いなのだ。もちろんそういう風に短絡的に考える人は少ないだろうが、(学生時代に受けた教育のせいかどうかは分からないが)やはりこういうテーマは無駄に気を使うため非常に煩わしい。反戦といってもSystem of a Downくらい真性バカでやってくれれば文句は出てこないのだけれども、Monoがやったら湿っぽさが出てくるのがミエミエで聴く前から微妙な辟易感がつのっていた。
 そんなこんなを含めて聴いてみたのだけれども、うん、そう悪くない。決して良いとも思わないが。聴こえてくる音はいつも通りのmonoといった雰囲気で前作がいけたクチならば問題ないだろう。ただ原爆という重いテーマの割には少し音が優しすぎるか。破壊性・凄惨性・絶望といったものはあまり感じられず、音の雰囲気としては悲しみが沿いながらもややポジティヴである。そこで解説ページをもう一度見てみると希望とか光とか未来とかいう言葉がチラホラ。なるほど、過去の凄惨な情景描写ではなく未来へと繋がる一歩を描きたいというわけだろうか。しかし未来への一歩を描くなんてのは一番エネルギーが要ることだと思うのだが、本作は力無く、ただ優しくてアッサリ風味。よってインパクトも薄く、テーマも空転気味な作品となってしまっているため、よっぽどのファンでなければ手を付ける必要は無いかと思う。
 
Rating 5/10

Posted at 23:53 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2007.05.25

Hopesfall まとめ

Hopesfallのレビューが一通り終わったので別カテゴリにしてみました。
ご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

そういや1つのバンドの全作品を紹介したのは初めてかも(1枚しか発表してないバンドは除く)。機会があればまた別のバンドでもやりたいとは思ってますが、結構疲れるので当分やりません。今は終わって凄くスッキリした感じです、まるで詰まっていたウンコが出たように。


Posted at 23:52 | 日記 | COM(0) | TB(0) |
2007.05.25

Magnetic North / Hopesfall (2007)

hopesfall4th.jpgノースカロライナ州出身のHopesfallによる4thフルアルバム。

前作で賛否両論が起こったHopesfall。まあほとんど否だったように思う(擁護派にしても『Hopesfallとして聴かなければ〜』など擁護しているのかどうなのかも分からない意見ばかりだったし)が3年ぶりのフルアルバムってことで一応ファンとしてはもしかしたら万が一何かガツンとやってくれるかもと淡い期待を寄せてもいたのだが、別の意味でやってくれました、何だこの中途半端で煮え切らない作品は。基調は前作と同じ歌モノ・エモ路線で若干絶叫もスペイシーな雰囲気も前作よりは多めになっており、多少2ndを彷彿させるところがないわけじゃないがそういう表層的な部分はどうでもいい。前作が何で駄作かってそれは方向性を変えたからじゃなくて、あくまで楽曲の粒が揃っておらず作品としての面白みに欠けていたからではないのか。下手な絶叫を張り上げるリーダートラックなんて初っ端から聴く気を削ぐ駄曲だし、その後もダラダラとしまりのない曲が続き新鮮さは全くもって感じられない。表層的な変化にしても、前作で批判受けたんで慌てて直しました感が強く、むしろその付け焼刃はマイナスポイント。Poison The Wellの新作が自らの過去の作品に対する決別を叩きつけてきたのに対し、Hopesfallの新作は過去の作品に未練が感じられる後味の悪い作品となってしまった。言うならば自分も"No Wings to Speak Of"や"The Satellite Years"に未練タラタラな'古い'ファンってことになるんだろうが、こんな半煮えなものを良質なロック・自然体ロックだともてはやして食す気には到底ならない。

Rating : 1/10

試聴はこちら

2007.05.23

A-types / Hopesfall (2004)

Atypescover.jpg.hopesfallからHopesfallへとバンド名をマイナーチェンジして発表された3rdアルバム。

うーん、EPから2ndの変化を考えるとエモ的要素をさらに増してくるとは予想していたもののまさかここまでとはねえ。刺々しさを引っ込め、ミニマルな方向を目指した本作だが正直物足りない感が強い。前作では響き渡っていた絶叫もほとんど寸止め的に抑えられているのが何とももどかしいし、何よりある種の神秘性まで失ってしまったのは問題ではなかろうか。前作で見られた刹那的魅力もどこへやら、3曲目位までは何とか聴けるがあとはもう冗長、冗長。メロディを強調し歌モノを目指したこと自体を悪いことだとは思わないが、これを安易に"ロックへの進化"などとおだてる気には全くならないし、前作の衛星軌道を飛び出して太陽まで行っちゃった本作のコンセプトにしても、こうも訴求力が無いと頭デッカチにしか思えない。
 冷静に考えてみると、そもそもこのバンドってそう良い曲を次から次へと送り出しているわけじゃないんだよなあ、楽曲にムラがありすぎるというか。もちろん以前の作品にもどうしようもない曲もチラホラ見られたのだが、1stは衝動性と混沌とした迫力で、2ndでは構築力と荘厳さでそのムラを出来るだけ覆い隠してきた。そしてEPが何故名作と謳われるかってそりゃ1stと2ndの両面を兼ね備えるからって理由もあるだろうが、単に曲数が少なくてそのムラが出る余地が無かったってこともあるんじゃないの?いやもちろんそんなのは極論だろうが、少なくとも本作はそんなことを考えたくもなるほどのネガティビティが露わになってしまっていると思う。新しいスタイルそのものを批判するつもりは無いし、むしろ1ファンとしては応援していきたいのだが肝心の曲がこれじゃあねえ。今回晒した弱点を次作以降どう挽回するのかには興味はあるが、本作は率直に失敗作というしかないでしょこんな出来じゃ。

Rating : 4/10

試聴はこちら

2007.05.22

The Satellite Years / .hopesfall (2002)

Satelliteyears.jpgTrustkillに移籍した.hopesfallによる2ndアルバム。

 前EPで自らのスタイルを確立し飛躍を果たした彼らだが、ここでVoのDougが脱退。1stアルバムやEPではその凄まじい絶叫により作品を支えていた彼の脱退はバンドにとって痛手であっただろうし、(自分はEPと2ndを同時に聴いたのでわからないが)以前からのファンの中では続くアルバムの出来を危ぶむ声もあったかもしれない。
 そんなこんなを経て2002年に発表され、"The Satellite Years"と名付けられた本作はそのアルバムタイトルといいジャケットといい曲名といい、宇宙を連想させる近未来的SFのような作りとなっている。ロケットが発射するかのような上昇感、宇宙空間に漂うかのような浮遊感、流星のような落下感など、それら空間的作用の中で描かれる切なさは本当に涙もの。また初期の混沌とした荒さ(粗さ)は完全に消え失せ、整然性は一層増し、エモの瑞々しさをふんだんに取り込むことでよりクリアな音像へ変化を果たした。壮大な始まりを予感させる#1はインストながらも本作の方向性を決定付ける指針ともいえる曲である。それに続く手拍子でちょっとつんのめりそうになる#2は置いておくとしても、#3・#4などは激しさと儚さが丁寧に織り込まれた良曲であり素直に心動かされる。心配されたVoの交代にしても絶叫は前任者ほどではないにしろ、メロディックな#5や#9を聴く限りではなかなかどうして新Voも本作の機軸に合っているのではないだろうか。終盤へと向かう中で印象的な寂光を放つ#8を経て、残った体力と感情を振り絞りそしてそれが吸い込まれていくように消えていく様を描き切った#10で完結。。EPと比べると幾分行儀が良すぎる、頭を使いすぎという声もあるかもしれないが、そうした雑音を聴こえなくさせるほどのスケールの大きさと、そしてそうしたハイスケールで描かれる10曲40分が一瞬で過ぎ去るような刹那性を備えた名作であると個人的には思う。
 
Rating 9/10

試聴はこちらから#10"The Bending"が聴けます。

2007.05.21

No Wings To Speak Of / .hopesfall (2001)

Nowingstospeakof.jpg2001年に発表された.hopesfallの金字塔とも言えるEP。当初Takeholdからの発売であったが、バンドがTrustkillに移籍してからはそちらから再発されることになった。

 もう4年半近くにもなるのかあ、2002年暮頃ちょっと話題になっていた.hopesfallによる、本作"No Wings to Speak of"と次作"The Satellite Years"をなんとなく2枚セットで買って聴いてから(ちなみに.hopesfallの作品において自分が聴いた順番を言うとEP&2nd→1st→3rd→4thとなる)。当時は叙情系ニュースクールだなんて言葉も知らずただただ呆けて聴いていたし、その後ここら辺の音を漁るきっかけともなったのだが、まあそんな与太話は置いておくとして。
 さて本作は1stフルアルバムから約二年の時を経て作られたEPであり、今尚一部の間で賞賛を受け続ける作品である。前作で見られたゴツゴツとした表面の粗さは丹念に磨かれ、さらに内面においてはグシャグシャと混ざり乱れていた感情は整然と並べられた感があるのが本作の特徴。では激しさが消えてしまったかというと決してそんなことはない。むしろ以前はブスブスと不完全燃焼気味であったものが、風通しが良くなることでスムーズに燃焼・爆発へと向っている印象があり、加えて燃焼の範囲も縦に横に広がりを見せ、ダイナミックに情動を伝えている。
 ノイズから始まる#1は1stの頃のやや粗さが垣間見える曲であり、他の三曲と比べるとややインパクトが薄い気もする。前作のレビューでも書いたが、それを初期衝動として見なせぬわけではないしそう気にもならないのだが。続く#2の"April Left With Silence"は3分と本作の中では最も尺が短い曲ではあるがその中にきっちりと躍動のドラマが描かれており(やや次曲の影に隠れがちではあるが)個人的にはかなり気に入ってる名曲。そして本作のハイライトであり彼らの代表曲でもある#3の"End of an Era"、7分弱という長めの曲ではあるが冗長感は全く無い。サイレンのように鳴り響くギター、壮絶な絶叫、地を鳴らすドラムが昇り詰めていく様に心震わされる前半部、優しさ・幽玄さが心を穿つ後半部とどちらも慟哭に満ちており、さらに全体からそこはかとなく感じられる無常感が非常に切ない。そして#4"The Far Pavilions"は前曲の流れを引き継ぎつつも、やや足早に終焉を急ぐように始まるが、後半では急にそれを惜しむ余情感溢れた雰囲気へと変貌するラストに相応しい曲である。
上で燃焼だ炎だと書いたが、一方で溶けるようなベットリとした感覚は無く、また冷たさすら感じられる一面もある。さらには悲壮の高みの中で遠くに点滅する希望のような光をも放っているのも非常に印象的。そんな青白き炎が光り、飛び交い、空への強烈な昇華をもたらす作品、なんて妄想を浮かべたくもなってくるが、まあこの辺にしておこう。情景描写だけに留まらず、感情の暴露だけに終止せず高次元でそれらを融合し反応をを示して見せた名作であると心から思う。

Rating : 10/10

試聴はこちらから"April Left With Silence"が聴けます。

2007.05.14

The Frailty of Words / .hopesfall (1999)

FrailtyOfWords.jpgPoison The Wellと並んで叙情系ニュースクールの代表格とされ、現在のスクリーモ勢からも影響を受けたバンドとして挙げられることが多い.hopesfall(後に表記をHopesfallと変更)の1stフルレングス。

さて上記のように(もはや絶滅寸前の)叙情系ニュースクールの代表格である彼らの記念すべきデビュー作であるわけだが、やはりEP"No Wings to Speak of"や2nd"Satellite Years"と比べると大分荒削りな作品であることは否めない。この頃からSTRONGARM、Shai Hulid等を経由したフロリダスタイルのニュースクールサウンドの中にエモ的要素を取り込み、ゆったりと情景を描く趣は後の飛躍の片鱗を見せていると思う。しかしどうもやはり拙さというか、途切れ途切れで一体感の無い音作りが気になるし、さらに言うならばコンポーズ力の弱さと楽曲のムラがかなりマイナス要因となっている(このコンポーズ力と楽曲の弱さに関しては後の作品のレビューに議論を持ち越しておきたい)。とはいえ個人的には、途切れ途切れでつっかえても力技で無理矢理押し出して吐き出すような感覚は嫌いではないし、それを初期衝動として捉えることも出来る。さらにそうした突き動かす衝動を支えているのが当時在籍していたVoのDougによる鬼気迫る咆哮であることも見逃せない。まだまだ未熟な作品ではあるが、後の作品を聴いて.hopesfallに興味が湧いた方ならば一聴して見る価値はあるだろう。

Rating : 7/10

作品が古いせいかmyspaceでは試聴できないので、興味ある方はgoogle検索で探してみて下さい。


2007.05.14

Hopesfallを振り返ってみよう

そろそろHopesfallの新作「Magnetic North」の発売が迫っていますね。

そこで、本日から1枚ずつHopesfallの作品を1stから振り返ってレビューしてみることにしました。思い入れのあるバンドなんでいつも以上に偏見入ると思いますが、そこはご愛嬌で。

Posted at 21:24 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2007.05.13

Redesekration / Infernal War (2007)

Iw.jpgポーランドのブラックメタルバンド、Infernal Warの2ndフルアルバム。過去の作品は筆者未聴。

不穏なイントロから一転してまあ飛ばすわ飛ばすわ、一体何なんだこいつらのこのハイテンションっぷりは。湿っぽくなったり煌びやかになったりするブラックメタルが多い中、このバンドは完全に爆裂感重視で突撃に次ぐ突撃の繰り返し。ギャハハハハと人を一瞬で血肉の塊にしそうな躁感の高さや、行け行け押せ押せ死ね死ねの虐殺ビートが非常に心地良いし、一段どころか二・三段高いところを飛ぶギターソロも突き抜けた雰囲気が出ている。#3やタイトルトラックの#4などの壮絶突撃曲もさることながら、断続的な加減速が見られる#6、冒頭の縦ノリ感でおっと思わせてからファストな展開につなげる#9などでは、突撃だけではない一抹の凝りが見えてなかなか面白い。最初から最後までほとんど隙が見えず、また見えたとしてもとてもじゃないが近寄れない圧倒的な威圧感が見事。メタルだとかメタルコアだとか関係なくうるさいもの好きなら同じ卓を囲んで殺り合える、良く言えば獣性豊か、悪く言えばすごくアタマの悪い快作じゃないだろうか。

Rating : 8.5/10

試聴はこちら

Posted at 15:39 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2007.05.01

Downtown Battle Mountain / Dance Gavin Dance (2007)

dance.jpg当の本人たちもバンド名の由来がよくわかっていないらしいDance Gavin Danceの1stフルアルバム。

Circa Surviveのようなフワフワと酔いそうな雰囲気の中に絶叫が切り込んでくる、いわゆるも何もスクリーモとしか思い浮かばない音楽性だとは思う。正直それ以上でもそれ以下でもないのだが、繊細性と凶暴性が折り重なる様は一時期のBeautiful Mistakeなどにも通じるところはあるか。ただ、このバンドやることなすことがいちいちクドいしワザとらしい。クリーンVoは必要以上にナイーブさというかナヨッちさ強調、絶叫Voはガナりすぎ、ギターはずっと高ーいところでキュルキュルギュルギュル…もうわかったからそこまで強調せんでもいいだろう、しかも強調したところでそれ程説得力ないじゃない、と文句の1つ2つも垂れたくなってくるのだが、たぶんこの人たちこれしか出来ないんだろうなあという思いにも同時に駆られた。そんな良く言えば青々しいひたむきさ(悪く言えば馬鹿の1つ覚え)に惹かれるところは全く無いが、手法自体は結構好みだし、ワザとらしいけどそれが凄くわかりやすい音ではあるし、湿っぽい音の割りにドタバタしてるしで、スクリーモが好きな人なら案外サクッとワンポイントリリーフ的に楽しめるのではないんだろうか。個人的にはスライダーしか持ち球が無いピッチャーみたいで面白いこともあり、これ一本でどこまでいけるのか見てみたい気もする。恐らくどこにもいけないだろうけども。

Rating : 6/10

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Posted at 23:26 | Music Review | COM(0) | TB(0) |