2007.11.18
Abyssal / envy (2007)
前アルバムが化粧品のCMにも使用されたらしい、envyのEP。日本が誇る(らしい)ポストコア/ポストロックバンドenvyによるEPなわけだが、基本的には去年発売された"Insomniac Doze"と同じ路線である。だがしかし、今までで一番抑揚に欠けると思うのは自分だけだろうか。もちろん優しい音が奏でられる部分と、激しい音が炸裂する部分は本作においても両方存在しており、それらの間の落差もしっかりと設けてある。ではこのインパクトの薄さはやはりマンネリによるものだろうか。炸裂するパートにしても"そろそろ来るか?やっぱり来た"という感が強く、驚きや新鮮味はほとんどと言っていいほど感じられない。それでもenvyだから、と言う方がいるのならそれはそれで構わないと思う。自分も正直な話、envyが出す音そのものは決して嫌いではないので多少好意的に捉えたい感情もある。だが本作においては両手放しで褒めることなど当然出来ず、かといってそれなりに振り向くような箇所があるので貶し倒す気にもならず、印象としてはなんとも中途半端ですっきりしない作品となった。どちらかに振り切れてくれれば非常に楽なんだが。
Rating : 5.5/10
今のところ本作の試聴が出来るところが見つからないのだが、一応myspaceにリンク張っておきます。
2007.11.15
Ire Works / The Dillinger Escape Plan (2007)
ニュージャージー州出身のカオティックハードコアバンド、Dillinger Escape Planの3rdアルバム。ある程度予想通りとでもいうか、前作で見せたポップな部分と元々持っていた実験的要素を増大させた作品、と言えるだろう。ただそれらが上手く機能しているかというと答えは否である。#3や#9などのポップな歌モノ曲はただポップなだけで媚売っているようにしか聴こえないし、#4・#7などの実験的な要素が特徴的な曲にしても、実験的であることのみに囚われて自らの幅を狭めているような気がして、結局焦点がボケて"で何がしたいの?"という疑問に駆られるのも個人的に如何なものかと思う。色々な仕掛けを施して様々な方向性を示したいのはわかるが、それがことごとく地雷と化して興を殺いでいるような気がしてならない。結局のところ惹かれる部分と言えば#1・#2などの猛然とした曲のみである。いや、それらの曲でさえ過去の作品を越えるどころか並ぶところまでもいかず、それなりにおお、と思わせるところもあるが全体の印象としてはやはり今までの作品の中で一番インパクトが薄い。何処へ飛ばされるとも分からない暴風に飲み込まれるような感覚はもう全く見られないし、さらに言うならばどこか無理してエキセントリックさを醸し出そうとしている感がやや寒く感じられる作品であった。
Rating : 3/10
試聴はこちら。
2007.11.13
Eyes Of Tomorrow / Broken Iris (2007)
チェロ奏者も有するカリフォルニア州出身の6ピースバンド、Broken Irisのデビューフルアルバム。(正式なバンド名は'[]broken iris'と頭に括弧付きらしい)オペラエモとかいう括りで紹介されていたので、最初はまた流行の音が出てきたかくらいにしか思っていなかったのだが実際聴いてみると印象はだいぶ違った。チェロやピアノなどをふんだんに使って盛り上げるこのダイナミックな展開は確かにオペラと言えるかもしれないが、それでも突き抜けた明るさは無くむしろ影を落としたメロディが耳にこびりつく。また、ゴシッキーといえばゴシッキーな感触もあるが、さほど暗黒性や閉鎖性に染まってるわけでもない。では全編を通して感じられる、妙な暑苦しさや派手さと同居するこの哀愁は何か、と考えるとどうも昭和歌謡や演歌辺りのそれに近いような気がする。何というか、非常にわざとらしくてコテコテでナルシスト全開。しかしそれが見事に堂に入っていて、これはこれでアリかなと思えてくるから不思議だ。特に前半部の#2・#3・#4・#6などにおける、濃密で湿った空気のブチ撒けっぷりが伸びのあるVoと相まってなかなか凄い。中盤が弱いが、#10・#14辺りでまたドンとブッ放すのである程度飽きさせない作りにはなっている。下手に激しさや歪みを出そうとした#7が思いっきり滑っていたり、もうちょっと曲数削っても良かったのではないかという不満があったりはするが、それを差し引いても余りある魅力があるのではないかと思う。季節的にもこの郷愁感が丁度良いかもしれない。
Rating : 8/10
試聴はこちら。
2007.11.11
Red Harvest / Bloodsimple (2007)
Vision of Disorderのメンバーによって結成されたbloodsimpleの2ndフルアルバム。不敵。#1では不穏な空気を醸し出すことで聴き手を揺らしにかかり、そして#2の冒頭ではけたたましくギターが鳴り響いたのち曲後半では2曲目だというのに早くもキメに入る。続く#3、#4、#6などザラついた攻撃性を遺憾なく発揮した楽曲を叩きつける様は実に痛快。しかし、それにしてもこのテンションの高さは一体何なんだ。アルバムもまだ前半だというのに脳卒中にでもなりそうな濃度と熱である。後半においてはやや勢いが落ちるものの、獣性を多彩に繰り広げていてなかなかに面白い。そうした方向性は、ハードコアの骨太さを確かに軸として据えながらも、伸びやかにさらなる高みを目指した結果と言えなくもない。全体としてみると、音そのものは凄くやかましくて禍々しいのに、受ける感触は冷徹な無機質さではなく有機的なしなやかさ。脚力も豊かに縦横無尽に暴れまわるまこと格好良い作品だと思う。おっと、当然のことながらVoの寄与に関しても忘れてはならないだろう。血が滲むかのような絶叫の凄まじさは楽曲にリアリティと切迫感を与え、さらに#10などで見せる歌唱パートは何とも艶かしく熱情的であり、絶叫とのコントラストは抜群。これはまた是非ライブで見てみたいものだ。
Rating : 8.5/10
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2007.11.10
Avenged Sevenfold / Avenged Sevenfold (2007)
カリフォルニア州出身のメタルバンド、Avenged Sevenfoldの4thアルバム。あーあ、やっちまったというのが一聴した感想。やや変則的な展開の中、かなりメタル寄りながらもどことなくパンク的要素も感じられる音楽性を披露するところは今までとそう変わりない。新しい要素としては、今までよりもシアトリカルに演出しようという意図からか、コーラスやらカントリー的な雰囲気やらを取り入れていろいろやってみようという心意気が感じられるが、それがAVのヌキ所の合間にある三文芝居みたいで何かうすら寒い。では肝心のヌキどころはどうなんだというと、これがまた予定調和で、緊迫感も無く緩みっ放しという体たらく。悶絶も絶頂も無くただだらだらと時間が過ぎていくダメAVを見ているようで、聴いているこっちが哀愁に包まれる。前作で見せていたドライブ感は一体どこへ行ってしまったのやら。詰まるところ、失敗作でしかないと思う。
元々パンクレーベルから出てきたのにこのコテコテメタルだから批判は多かったような気はするが、1st&2ndではそのコテコテさが何か癖になるところもあったし、さらにメジャーデビューの3rdではこちらもちょっと驚きのスケールアップを果たしてそれなりに頼もしく思ってはいた。そんなわけで個人的には結構好きなバンドではあったのだが、今回ばかりは擁護のしようが無いか。緩んだケツの穴締めなおして出直してこい、とちょっと思った。
Rating : 1/10
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2007.11.01
Colors / Between the Buried and Me (2007)
元々はカオティックコアと呼ばれ、現在ではすっかりプログレメタルなBetween the Buried and Meの4thフルアルバム。方向性の変化としてはある程度予想通りといえるプログレ化の進行といえるのだが、曲の流れそのものは予想の付かない展開の連続であり、次から次へとハプニングが起こるドタバタコメディのようで中々面白い。その一方で時折顔を見せるシリアルな泣かせドコロもしっかりと機能しており、ドタバタとのギャップも楽しめる作りとなっている。プログレ化の一方で今までの激しさはどうなったかというと、これもしっかりと残っている。ただやはりメロウなパートが増えたため全体平均としての勢いはやや前作よりも劣るか。とはいえ瞬間的な怒涛は今だ健在なのでそれ程マイナス点にはならない。ただその展開ゆえにとも言えるかもしれないが、聴き終わった後アレは一体なんだったんだという若干空しさに近い疑問を少し感じるのは自分だけだろうか。長尺なのに刹那的というニッチな楽しみ方もそれはそれでありだろうが、個人的にそもそもプログレが苦手というのもあってどこか腑に落ちない感が付き纏う。無論凡作などと言うつもりは毛頭無いが、個人的には前作と比べるとややインパクトの落ちる作品であるか。その辺りの相対値も考慮して点数は若干抑え目に。
Rating : 6.5/10
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