2008.05.16
A Feast for the Wretched / Execration (2008)
コロラド州出身のデスメタルバンド、Execrationの1stフルレングス。過去の作品は筆者未聴。ノルウェーにも同じ名前のデスメタルバンドがいるが別物。ありがちな不穏さを煽るイントロと#2の最初30秒聴いたときは何かかったるいデスメタルだなとも思ったのだが、そこから一気に体感的圧度が上昇し評価は一転、ちょっと待てと姿勢を正すような思いがした次第である。やはりこういう肌にビリビリと刺激が来る音は聴いていて気持ちが良い。スタイルとしてはテクニカルなアメリカ産ブルータルデスメタルといった趣が非常に強いと思うのだが、とにもかくにも前に走れという感じではなく、#5を筆頭に#4・#6など上下の動きを誘発する曲が並べられている。そうした奇妙なノリの良さがかなり顕著でそれがある種のキャッチーさを生み出しており、タイトルよろしく重さがありつつもドンチャン騒ぎをしているような感覚に襲われる。それでいてグッチャリとだらしなくならずにタイトに引き締まっているところもまた魅力の1つであろう。また#3や#8といった、マシンのように殺伐と粉砕していくような曲も堂に入っているし、図太く歪んだデスVoも迫力は充分でややうわずった絶叫Voとの掛け合いもなかなかいい味を出している。ラストが若干うやむやで終わってしまった感がありその点は少し残念なのだが、それでもガツガツとした心地良さすら感じられる、全9曲30分の快作であると思う。
Rating : 8.5/10
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2008.05.08
Bondage Goat Zombie / Belphegor (2008)
オーストリアのブラックメタルバンド、Belphegorの7thアルバム。過去作品は聴いたことあるような気もするがあんまよく覚えていないのでとりあえず未聴とする。プリミティブな魅力はあまり無いにしても、整合感のある突進をブチかますタイトルトラックの#1を聴いたときは結構テンション上がったのだが、ただその後がどうにも続かない。#2の時点で既にちょっと息切れ気味なのだが、#4におけるHeaven Shall Burnの出来損ないクラスの中途半端な泣き要素とか聞いてるうちにもうテンションは駄々下がり。女の喘ぎ声が聞こえてくる#5なんか完全に失笑モノでどうしようもない。いろいろと趣向を凝らすこと自体はやるならやるで一向に構わぬのだが、それが軸のブレを生み出しパワーを散逸させてしまっているようでは全く意味が無い。いや意味が無いどころかかえってマイナス要素にしかならないのではないか。#6では散逸したパワーが再び凝縮する様が見られたので少しは持ち直すかなと思ったら、終盤の#8・#9ではまたダラダラと弛緩した空気に包まれて曖昧なまま終わりを迎えてしまう。通して考えると、本作はほんとことごとく流れをブツ切りにした迷作だなと痛感した次第である。というわけで評価としては#1と#6に対して各1点ずつで計2点。それで充分だろう。
Rating : 2/10
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2008.05.05
Illuminate / Lydia (2008)
アリゾナ出身の3ピースエモバンド、Lydiaの(たぶん)2ndアルバム。過去の作品は筆者未聴。この幼女のジャケットを見た時点でちょっとアレな予感していたのだが、ああやっぱりか。良い方に考えればMaeの"Everglow"における絵本の中のような感覚にCopelandの透明性を足した音楽性ともいえるのだが、個人的にはワンダーランドの中で幼女と戯れる妄想劇にしか聴こえなかったり。とはいえ例えそんな妄想劇であったとしても決して本作を貶しているわけではない。むしろ終始ミドルテンポで通しつつも安直なミニマリズムに留まらないスケール感や、繊細且つふくよかさも備えた楽曲を目の当たりにすると彼らの力量を認めざるを得ない。特に寂しげなイントロから始まり美しいハーモニーとともに終盤盛り上がりを見せる#1が秀逸で、その他の曲も暖かみの中にほのかな寂しさがあり、さらに清廉とした佇みすら見せている。中盤のインパクトが若干弱いものの、#9・#11とノスタルジックに作品終盤を飾り、名残惜しげな妄想劇の終焉を色濃く聴き手に刻み付けるところもなかなかどうして魅力的である。ビューティエモ好きならばこのウフフな世界観に恍惚としてしまう方もいるのではないだろうか。ただやはり冒頭でも述べたとおり、木漏れ日の下で幼女とのプラトニックラブを描いたような、清廉さと邪な心が交錯する感はどこか常に付きまとう。もはやそういうものだと受け入れてしまえばこれはこれで楽しめるのだが、受け入れられない人も当然沢山いるだろう。というかそうでなかったらこの国は終わっている。
しかしこれライブのときどういう顔してどういう心境で聴いたらいいんだろう。いもしない我が子を見守るような視線で溢れてたら嫌だな。
Rating : 7/10
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2008.05.04
I, Lucifer / Destroy the Runner (2008)
1ヶ月半ぶりの更新です。仕事やら講習やら旅行やらであんまブログのほうに時間取れない日が続いていました。最近の新譜にしても忙しかったり、よく覗いてたサイトが閉鎖したりしたためかあんま追えてない状況です。レビューの書き方すら忘れてそうなんですが、元から感性だけで書いてる部分が多かったのでそんなに問題ないのかも。また少しずつリハビリがてら書いていこうと思ってますんでよろしくお願いします。
さて今回紹介するのはサンディエゴ出身のメタルコアバンドDestroy the Runnerによる、バンド名といいリリースされた時期といい、狙ってないにしてもタイミング良すぎなデビューアルバム。
そのスタイルはMisery Signals辺りと思わせるやや展開が複雑なメタルコアであり、カオティックという程狂ってはおらず、むしろ歪んだギターや絶叫の圧の間をかいくぐってくる儚げなメロディやスペーシーさを引きの魅力とするタイプ。Destroy the Runnerはその引きの芸をさらに特化させたバンドと言っていいだろう。メタルコアだニュースクールだといった要素がベースになっているのはわかるが、それ以上に歌モノとしての魅力を前面に出して訴えかけようというという意図が感じられる。ただ悲しいかな、その訴えが今一つダイレクトに届かない。この手のバンドにありがちな、小さい単位では良いなと思えるところがあっても、曲単位・作品単位になると途端に印象が薄くなるという欠点を本作も抱えている。曲数をペンタとかヘキサとかで表しているところなんかも、人によってはインテリ気味で鬱陶しい小細工とも取れるし、結局バンド名以外インパクトが無いという結論に至るほかは無いだろう。前述したMisery Signalsとか、あと最近で言うとA Slylit Driveなんかが好きな人は多少興味を持って聴けるのではないだろうかと思うものの、逆に言えばそうでない人は無理して聴く必要はないとも言える。
Rating : 4/10
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