2008.06.24

Fractures / Killing the Dream (2008)

ktd.jpgカリフォルニア州出身のハードコアバンド、Killing the Dreamの3rdフルアルバム(通算4作目)。

全12曲24分という一体どこのグラインドコアだよと言いたくなるような尺の短い作品ではあるが、その中には荒々しさ・怒涛の疾走・男の哀愁がギッチリと詰め込まれている。基本的には猪突系ハードコアなのだが、猪突のみに留まらない魅力も備えているように思う。そこらかしこに散りばめられているメロディアスなパートにしても、甘美さは微塵も無く歪んでおり、安酒をガブ飲みするかのように荒んでいてそこがまたたまらない。またデビュー当時に比べると押し引きの展開に長けてきたかなという感はあるが、小手先の展開の変化に捉われることもなく、結局最後はやはり力技で押し切ってくるところが実に格好良い。ただでさえ短いアルバムをさらに凝縮したかのような#3、最後のファック連発でああやっぱこいつらバカだと思わずに居られない#4あたりは本作のハイライトかと。さらに#8・#9辺りにおける、イントロから一転して畳み掛ける曲も堂に入っている。ラストはアルバムの中で4分と最長の曲なのだが、緩急と劇性を巧みに操り打ち貫く、終焉を飾るに相応しい曲であろう。本作はこのバンドの良い所をさらに強化してきた作品と言えるものであり、最近聴いた直情ハードコアの中では群を抜いて良かった。少し褒め過ぎかもしれないが、ハードコア好きな方ならば多少なりとも心か体が動くところがあると思うので、試しに一度聴いてみることをオススメする。

Rating : 9/10

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Posted at 11:21 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2008.06.19

Wires...And The Concept Of Breathing / A Skylit Drive (2008)

ASD.jpgカリフォルニアのスクリーモバンド、A Slylit Driveの初フルレングスアルバム(通算二作目)。

うるせぇーーー!!何だこのVoは。余りの高音Voのウザったさに思わずイヤフォンを取ってしまった。あいや、「ハイトーンVoに絡む絶叫」をアピールしたいのはこういう音楽の定番中の定番でありその点重々承知しているし、かくいう自分自身そういうのが結構好きなのだが、それにしてもこれは少々過剰演出が過ぎる気がする。このVoでも#7くらい曲調が沈んでいればまだマシなのだが、続く#8とかは何か元気になってて耳障り。誰か止めなかったんだろうか。音作りそのものはどこか小洒落れていて変則的、ヴァリエーション豊かとも言えるし、押したいんだか引きたいんだかサッパリで散発的とも言える作風である。前EPを聴き返して思うのだが、やはりこういう音楽はあれくらいの短さの方が丁度良いのかもしれない。前作に比べて激性が落ちてしまったのも個人的にかなり痛い。それでも#11・#12辺りで勢いを巻き返してくるところなんかは聴き応えがあるのだが、この作品に抱いた印象を挽回するには時既に遅しか。
もう開き直ってこのVoはある意味嫌がらせ的なエクストリームミュージックとして捉えてもいいのかもしれない。ほら昔超音波で蚊を寄せ付けないとかあったじゃない、あんな感じ。とかそんなこと書いてたらむしろこのVoが蚊みたいに思えてきた。ああ、そういえばもう蚊の季節か。日本の夏、金鳥の夏。

Rating : 4/10

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Posted at 21:59 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2008.05.16

A Feast for the Wretched / Execration (2008)

Execration+-+A+Feast+for+the+Wretched+-+2008.jpgコロラド州出身のデスメタルバンド、Execrationの1stフルレングス。過去の作品は筆者未聴。ノルウェーにも同じ名前のデスメタルバンドがいるが別物。

ありがちな不穏さを煽るイントロと#2の最初30秒聴いたときは何かかったるいデスメタルだなとも思ったのだが、そこから一気に体感的圧度が上昇し評価は一転、ちょっと待てと姿勢を正すような思いがした次第である。やはりこういう肌にビリビリと刺激が来る音は聴いていて気持ちが良い。スタイルとしてはテクニカルなアメリカ産ブルータルデスメタルといった趣が非常に強いと思うのだが、とにもかくにも前に走れという感じではなく、#5を筆頭に#4・#6など上下の動きを誘発する曲が並べられている。そうした奇妙なノリの良さがかなり顕著でそれがある種のキャッチーさを生み出しており、タイトルよろしく重さがありつつもドンチャン騒ぎをしているような感覚に襲われる。それでいてグッチャリとだらしなくならずにタイトに引き締まっているところもまた魅力の1つであろう。また#3や#8といった、マシンのように殺伐と粉砕していくような曲も堂に入っているし、図太く歪んだデスVoも迫力は充分でややうわずった絶叫Voとの掛け合いもなかなかいい味を出している。ラストが若干うやむやで終わってしまった感がありその点は少し残念なのだが、それでもガツガツとした心地良さすら感じられる、全9曲30分の快作であると思う。

Rating : 8.5/10

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Posted at 23:54 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2008.05.08

Bondage Goat Zombie / Belphegor (2008)

belphegor_bondage_goat_zombie.jpgオーストリアのブラックメタルバンド、Belphegorの7thアルバム。過去作品は聴いたことあるような気もするがあんまよく覚えていないのでとりあえず未聴とする。

プリミティブな魅力はあまり無いにしても、整合感のある突進をブチかますタイトルトラックの#1を聴いたときは結構テンション上がったのだが、ただその後がどうにも続かない。#2の時点で既にちょっと息切れ気味なのだが、#4におけるHeaven Shall Burnの出来損ないクラスの中途半端な泣き要素とか聞いてるうちにもうテンションは駄々下がり。女の喘ぎ声が聞こえてくる#5なんか完全に失笑モノでどうしようもない。いろいろと趣向を凝らすこと自体はやるならやるで一向に構わぬのだが、それが軸のブレを生み出しパワーを散逸させてしまっているようでは全く意味が無い。いや意味が無いどころかかえってマイナス要素にしかならないのではないか。#6では散逸したパワーが再び凝縮する様が見られたので少しは持ち直すかなと思ったら、終盤の#8・#9ではまたダラダラと弛緩した空気に包まれて曖昧なまま終わりを迎えてしまう。通して考えると、本作はほんとことごとく流れをブツ切りにした迷作だなと痛感した次第である。というわけで評価としては#1と#6に対して各1点ずつで計2点。それで充分だろう。

Rating : 2/10

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Posted at 23:15 | Music Review | COM(0) | TB(0) |
2008.05.05

Illuminate / Lydia (2008)

Illunnm.jpgアリゾナ出身の3ピースエモバンド、Lydiaの(たぶん)2ndアルバム。過去の作品は筆者未聴。

この幼女のジャケットを見た時点でちょっとアレな予感していたのだが、ああやっぱりか。良い方に考えればMaeの"Everglow"における絵本の中のような感覚にCopelandの透明性を足した音楽性ともいえるのだが、個人的にはワンダーランドの中で幼女と戯れる妄想劇にしか聴こえなかったり。とはいえ例えそんな妄想劇であったとしても決して本作を貶しているわけではない。むしろ終始ミドルテンポで通しつつも安直なミニマリズムに留まらないスケール感や、繊細且つふくよかさも備えた楽曲を目の当たりにすると彼らの力量を認めざるを得ない。特に寂しげなイントロから始まり美しいハーモニーとともに終盤盛り上がりを見せる#1が秀逸で、その他の曲も暖かみの中にほのかな寂しさがあり、さらに清廉とした佇みすら見せている。中盤のインパクトが若干弱いものの、#9・#11とノスタルジックに作品終盤を飾り、名残惜しげな妄想劇の終焉を色濃く聴き手に刻み付けるところもなかなかどうして魅力的である。ビューティエモ好きならばこのウフフな世界観に恍惚としてしまう方もいるのではないだろうか。ただやはり冒頭でも述べたとおり、木漏れ日の下で幼女とのプラトニックラブを描いたような、清廉さと邪な心が交錯する感はどこか常に付きまとう。もはやそういうものだと受け入れてしまえばこれはこれで楽しめるのだが、受け入れられない人も当然沢山いるだろう。というかそうでなかったらこの国は終わっている。

しかしこれライブのときどういう顔してどういう心境で聴いたらいいんだろう。いもしない我が子を見守るような視線で溢れてたら嫌だな。

Rating : 7/10

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Posted at 20:42 | Music Review | COM(0) | TB(0) |